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ALS発症機構に基づいた治療薬の基盤を開発

【 概要 】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動神経細胞が選択的に障害を受ける神経変性疾患ですが、発症メカニズムに基づいた効果的な治療薬・治療方法は明らかになっていません。ALSを引き起こす原因の一つとして、SOD1遺伝子(注1)変異が知られています。東京大学大学院薬学系研究科の一條秀憲教授らの研究グループは、これまでALSで発見された変異型SOD1が本来とは異なる構造をとり、小胞体に存在するDerlin-1(注2)というタンパク質と結合することで、運動神経細胞死を引き起こすことを明らかにしてきました。しかし、この2つのタンパク質の結合を阻害することが、本当にALS病態の改善に繋がるかについては不明でした。
今回同研究グループは、東京大学創薬機構との共同研究により、約16万種類の化合物の中からSOD1とDerlin-1の結合を阻害する化合物を見出しました。さらに、本化合物を改良した化合物がALS病態改善効果を示すことを明らかにしました。本研究成果は、SOD1とDerlin-1のタンパク質間相互作用の阻害がALS治療標的になること、分子メカニズムに基づいたALS治療薬の開発基盤候補として、SOD1とDerlin-1のタンパク質間相互作用を阻害する化合物の創出に成功したことを示しており、今後発症機構に基づいた新規ALS治療薬の開発に繋がることが期待されます。

本成果は、2018年7月10日(英国時間)に、英国の科学雑誌「Nature Communications」のオンライン版に公開されました。なお本研究は、文部科学省脳科学研究戦略推進プログラムの一環として、また科学研究費補助金ならびに医薬基盤研究所先駆的医薬品・医療機器研究発掘支援事業や日本医療研究開発機構(AMED)創薬等ライフサイエンス研究支援基盤事業などの助成を受けて行われました。

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