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合成領域 岡山大学機関の支援・高度化の取組

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 教授 宮地弘幸

 合成領域岡山大学機関では、フッ素原子の特性を生かした、リード化合物最適化・化合物ライブラリー強化を支援・加速する官能基導入・転換技術の高度化"課題の下、合成支援・ライブラリー構築・高度化の各研究領域を推進しています。フッ素は化合物の薬理活性や吸収・分布・代謝・排泄に影響し、医薬品創製の観点から重要な原子です。実際、上市されている医薬品の3割以上にフッ素原子が導入されています。合成領域岡山大学機関ではフッ素原子の導入を中心とした合成支援・ライブラリー構築を実施するとともに、新たなフッ素含有非天然アミノ酸類の効率的合成法の開拓とその応用研究を実施しています。

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 平成24年度から現在までに、合計6課題の合成支援研究を実施しています。この内2課題に関しましては特許出願にまで研究を進めました(特願 2012-263317、特願 2013-247446)。現在、他の2課題も特許出願に向けて準備中です。一方、高度化研究に関しましては、トリフルオロメチル基含有光学活性アミノ酸類の合成とその物性に関する論文報告を行いました(Tetrahedron Letters, 55, 6915-6918 (2014))。
 合成支援やライブラリー構築においては、化合物合成の効率化が強く求められています。他の合成領域機関も同様ですが、如何に構造上の多様性を有する化合物群を多く創製し提供するかは重要な課題です。
 岡山大学機関では、多検体同時並行合成、連続合成、連続精製、分析の(半)自動化に取り組み、左に示す各種実験機器類を駆使することで、各研究テーマ推進のためにタイムリーにサンプル提供ができる体制を構築致しました。今後さらに支援の幅や高度化研究の枠を拡大させ、これらの機器から創出された各種化合物群が、種々のケミカルライブラリーやプローブとして利用され、その成果が将来アカデミア発医薬創製に結実することをおおいに期待します。

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