C8-2 タンパク質と他の分子との量子化学計算による相互作用解析

ユニット名

インシリコ解析ユニット

支援担当者

所属 ① 大阪大学 大学院薬学研究科
② 九州大学 工学研究院
③ 理化学研究所 生命機能科学研究センター
氏名 ① 福澤 薫
② 加藤 幸一郎
③ 本間 光貴
AMED
事業
課題名 AIとFMO法を融合したインシリコスクリーニングと分子間相互作用解析支援
代表機関 理化学研究所
代表者 本間 光貴

支援技術のキーワード

量子化学計算、FMO、相互作用解析、分子認識

支援技術の概要

タンパク質の量子化学計算を可能にするFMO法は、1999年に提案されてから20年間に渡って方法論を発展させ、学術的な成果を挙げてきた。7年前からは、福澤が代表となり産学官連携のFMO創薬コンソーシアムを設立し、実用的な手法の開発と普及を目指して活動しており、「京」や「富岳」を中心としたHPCI課題に採択され、2度のHPCI優秀成果賞を受賞した。現在、製薬企業14社以上と共同で、FMO-MD-AIを組み合わせた創薬手法の開発や、抗体や核酸を含む各ターゲットに対する大規模な計算を進めている。

先行のAMED BINDSでは、FMO自動計算プロトコール、FMO法による相互作用解析、高精度活性予測、FMOとAIを組み合わせた活性予測等の手法の開発を行った。また、世界初のタンパク質の量子化学計算値データベースであるFMODBを構築して公開した。FMODBに格納されているFMOデータは、様々な解析や創薬に応用することができる情報の宝庫であり、その応用として、FMO電荷のAI予測、FMO-AIによる活性予測について開発を行い、良好な結果を得ている。本申請において計画しているFMO創薬基盤の高度化では、右図に示すように従来から実施してきた相互作用解析や分子設計への応用に加えて、FMO-AI力場の開発、FMODBの解析機能の強化、利用者が直接サーバー上でFMO計算を実施して、結果を閲覧・解析できる「オンデマンドFMO計算機能」の開発を進める予定である。さらに、RNA等の核酸系に対するFMO計算手法、重金属に対するFMO計算手法、古典MDとの連携、FMO法に基づくab initio MD計算等の開発を順次行っていく予定である。

支援技術の利用例

以下に示す利用例に対応可能である。

1)タンパク質と他の分子とのFMO法による相互作用解析

成功例として、理研の伊藤グループと行ったeIF4A-RocA と RNAとの複合体のFMO法による相互作用解析がある。以下の図に示すように、タンパク質、RNA、リガンドの間の相互作用を定量的に解析し、リガンド認識機構を精密に考察し、論文を出版した。(Mol Cell, 73(4), 738-748, 2019)

2)MD計算とFMO計算を融合させた動的FMO相互作用解析

3)FMO法を用いたタンパク質構造の精密化

支援担当者の研究概要

大阪大学 大学院薬学研究科、九州大学 工学研究院、及び理化学研究所 生命機能科学研究センターにおいて、FMO法による相互作用解析に関する技術を確立し、FMO計算専用サーバーを整備している。また、TSUBAME、FUGAKU等の計算機とも連携できる体制となっている。先行のAMED BINDS事業では、10件以上の支援を実施し、論文出版に結び付いている。

https://www.phs.osaka-u.ac.jp/research/researcherDetail.php?id=36
http://www.chem.kyushu-u.ac.jp/~cms/staff/#情報科学部門
https://www.bdr.riken.jp/ja/research/labs/honma-t/index.html

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