F3-1 疾患モデル動物提供支援

ユニット名

薬効・安全性評価ユニット

支援担当者

所属 ① 筑波大学 医学医療系/生命科学動物資源センター
② 筑波大学 医学医療系/生命科学動物資源センター
③ 筑波大学 医学医療系/生命科学動物資源センター
氏名 ① 高橋 智
② 水野 聖哉
③ 久野 朗広
AMED
事業
課題名 遺伝子改変疾患モデルマウスの「全方位型」作製支援
代表機関 筑波大学
代表者 高橋 智

支援技術のキーワード

マウス受精卵、ゲノム編集、ノックアウト(KO)、長鎖DNAノックインマウス(KI)、コンディショナルノックアウト(cKO)

支援技術の概要

我々は図1に示すように、年間100件以上の様々な作製を実施している。本支援では、被支援者のどの様な依頼にでも対応できる「全方位型」作製支援として、以下の4種類の支援を実施する。なお、支援④は「高度化」研究の成果を利用するものであり、令和5年度からの支援を予定している。
① 特殊系統マウスも含む遺伝背景でのゲノム編集によるKOマウスと点変異マウスの作製支援
多様な遺伝背景でのin vivo遺伝子機能解析や多重遺伝子変異マウスモデルは、創薬開発に重要であるGene Interaction解析や薬剤開発に大きく貢献する。そこで、これらのマウス系統や被支援者が保有する遺伝子改変マウス系統の受精卵にCRISPR-Cas9を導入することで、特殊系統の遺伝背景をもつ遺伝子改変マウスを作出する。加えて、異常表現型の原因候補点変異を受精卵ゲノム編集にて野生型へと置換することでその表現型をレスキューされるかを検討する研究の支援を被支援者の要望に応じて実施する。本支援は受精卵ゲノム編集だけでなく、ゲノム編集デザインから遺伝型解析までの全プロセスを支援する。
② 一般系統マウス遺伝背景でのゲノム編集による長鎖DNA KIマウスとcKOマウスの迅速作製支援
cKOアウトの解析には、適切なCreドライバーマウスが必要であるが、Creドライバーマウスの作製のためには長鎖DNA KI技術が必要である。我々は高効率の長鎖DNA KI技術を確立しており、本方法を用いて長鎖DNA KIマウスをマウス受精卵ゲノム編集により作製して供給する。また本方法を用いてcKOマウスも作製して供給する。これまでの作製実績では、ほとんどの作製でマウスを6ヶ月以内に供給できている。
③ 特殊系統マウス遺伝背景でのゲノム編集による長鎖DNA KIマウスとcKOアウトマウス作製支援
上記の方法を用いて、特殊系統マウスでも長鎖DNA KIマウスとcKOアウトマウス作製支援を行う。特殊系統の場合は、受精卵の性質により必要な作製時間が異なる。
④ direct-cKO法によるcKO in vivo screeningマウス作製支援

我々が独自開発した新たな発生工学技術と基盤的マウスリソースを利用して、これまでの方法では複数の交配を行わなければ作製できなかったcKOマウスを遺伝子操作したマウスそのもので達成する方法を確立し、迅速な致死性遺伝子のin vivo機能解析を行う。

支援技術の利用例

  

cKOマウス作製には、研究目的に合った組織や時期特異的な遺伝子発現制御領域を用いてCre組換え酵素を発現させる必要がある。そこで我々は、組織や時期特異的な発現が確認されている遺伝子のコーディング領域の最後にP2Aを用いてCreをノックインすることで、組織特異的なCreドライバーマウスを作製している。この方法は、内因性の遺伝子発現制御領域によってCreの発現が制御させること、また挿入した遺伝子自体は機能を保持していること(bicistronic)が非常に有用な方法である。我々はこの方法により、多数のCreドライバーマウスを供給してきた。実施例としてインスリン遺伝子にCreを挿入したマウスを図2に示す。

支援担当者の研究概要

支援担当者が所属する筑波大学トランスボーダー医学研究センター/生命科学動物資源センターは、国内最大級の動物センターであり、遺伝子改変マウスの受託作製を行っている。これまで2000件を超える遺伝子改変マウスを作製し、供給してきた。受精卵を用いたゲノム編集技術の開発を行うとともに、様々な遺伝子改変マウスを用いて、転写因子の生体における機能解析、生殖細胞の形成機構などの研究を実施してきた。

トランスボーダー医学研究センターHP:http://www.md.tsukuba.ac.jp/tmrc/
生命科学動物資源センターHP:http://www.md.tsukuba.ac.jp/public/LabAnimalResCNT/

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