F6-2 疾患モデルマウスによる薬効評価支援

ユニット名

薬効・安全性評価ユニット

支援担当者

所属 ① 国立循環器病研究センター
氏名 ① 山本 正道
AMED
事業
課題名 エネルギー代謝可視化を利用した病態モデル作出から薬効試験の臨床予測向上と支援
代表機関 国立循環器病研究センター
代表者 山本 正道

支援技術のキーワード

CRISPR/Cas、Transgenic、マウス、knock-out、ATP動態可視化

支援技術の概要

マウス(ラット)生体内におけるATP動態を定量的・経時的・高解像・高時間分解で可視化するシステムを用いた短期間かつ臨床結果を高精度に予測できる薬物効果を評価できるシステムを提供する。F6-1の支援により作出したATP動態可視化疾患モデルマウス(ラット)を用いて、通常および薬剤投与時などの外圧を加えたときの全身・全臓器・全細胞におけるエネルギー代謝変動を代謝ケージによるVO2, VCO2, 行動, 摂餌の計測と、ATP動態可視化による恒常性変動の計測を支援する。

支援期間は、マウスの週齢や試験内容によるが、おおよそ1~3ヶ月程度である。

支援の主な項目

・代謝ケージを用いたVO2, VCO2, 行動, 摂餌の計測
・ATP動態可視化による恒常性変動の計測
(ATP動態可視化にはATP可視化動物との交配が必要)

支援の流れ

  1. 試験内容についての相談
  2. 当該施設への動物の導入
  3. 試験

支援技術の利用例

病態モデルの表現型(例えば、アルツハイマー型認知症モデルであれば、認知機能低下、心不全モデルであれば、心機能低下)が表出する時期から遡って、全臓器のATP動態を蛍光実体顕微鏡システムを用いた臓器レベルで経時的に撮影してATP量を計測する事で、ATP量変動開始時期と臓器を特定した。
例えば、アルツハイマー型認知症の場合は、認知機能低下3ヶ月前、心不全モデルであれば心拍出量低下1ヶ月前にATP動態異常を疾患原因臓器およびその他の臓器でも特定した。
薬効を検討する時は、候補物質が医薬品候補である場合はATP量変動時期の1~2週間前から投与開始、候補物質がサプリメントや食品成分である場合は3週間前から投与開始する事で有効性を評価できている。
更に、検討する個体数は1試験5個体程度で十分な結果を得られる。
必要に応じて、各エキスパート(例えば、中枢疾患の場合は国立循環器病研究センター 脳血管内科・脳神経内科 猪原匡史部長、生物統計・疫学の場合は国立循環器病研究センター 予防医学・疫学情報部 西村邦宏部長、薬事の場合は京都大学医学部附属病院/先端医療研究開発機構 伊藤達也講師、知財やライセンス交渉は国立循環器病研究センター 産学連携本部 大藤康一朗室長など)にコンサルティング・支援を受け、効率的かつ効果的に進める事が可能な体制である。

検討してきた疾患モデル
・アルツハイマー型認知症
・てんかん
・統合失調症
・鬱
・ミトコンドリア病
・心不全(心筋梗塞・心肥大・QT延長など)
・糖尿病
・フレイル
・筋ジストロフィー
・感染症(敗血症・脳炎など)
・不妊症
・がん(皮膚がん・膵臓がんなど)
など

これらの疾患モデルを用いた全身・全臓器・全細胞の代謝異常評価および治療薬剤候補の効果・安全性の検証。
国内外のアカデミア、複数の企業と様々な物質の評価実績あり。

支援担当者の研究概要

大阪大学 旧・細胞生体工学センター/生命機能研究科(現・理化学研究所)濱田博司研究室、武田薬品工業 創薬研究所にて遺伝子操作・病態疾患・薬理の経験を経て、現在は代謝のベンチマークの一つであるアデノシン三リン酸(ATP)を生体内でマクロ(全身)からミクロ(細胞小器官)レベルで可視化することで、様々な病態疾患・治療効果・安全性を評価検討している(BioRxiv 2020)。

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