F7-3 生体模倣評価系による薬効・薬物動態評価支援

ユニット名

薬効・安全性評価ユニット

支援担当者

所属 ① 東京大学 大学院薬学系研究科
② 北里大学 薬学部
氏名 ① 楠原 洋之
② 前田 和哉
AMED
事業
課題名 新規薬効成分の薬物動態解析と体内動態特性予測の支援
代表機関 東京大学
代表者 楠原 洋之

支援技術のキーワード

マイクロフィジオロジカルシステム(MPS)、デバイス、オルガノイド、complex in vitro model (CIVM)

支援技術の概要

従来のin vitro細胞培養モデルに加えて、近年では、complex in vitro model (CIVM)の医薬品開発への適用が始まっている。CIVMは、オルガノイドのように臓器を構成する複数種の細胞からなる3次元培養モデル、微小流路を利用したマイクロフルイディックスを利用したマイクロフィジオロジカルシステム(MPS)などを含む。本支援テーマでは、MPSの薬物動態解析・毒性評価への利活用を支援する。現在、市販されている培養デバイスとして、CN-Bio社、Emulate社、MIMETAS社の各培養器具・チップを搭載して培養可能な機器を保有しており、実際に還流培養を行い薬物動態関連分子の機能解析を実施した実績も有している。これらを利用した代謝・輸送能評価や、有効性・安全性の評価系の構築について支援・技術指導を実施可能である。MPSの他、実験動物ならびにヒト由来腸管クリプト由来幹細胞の3次元培養や、腸管上皮細胞への分化を誘導したオルガノイド培養等も既に実現化しており、必要に応じて薬物動態・安全性評価に利用可能である。また、研究者が独自で開発した新規オルガノイドや各種培養フォーマット上の細胞における薬物代謝能・薬物輸送能の定量的評価についても、様々なin vitro実験系を取り扱ってきた豊富な経験を有する支援担当者のノウハウに基づき、適宜支援することができると考えている。

支援技術の利用例

各種培養チップへの播種、還流培養を行い、培養条件を最適化した後、シーズ化合物の薬物を培地に添加し、動態特性(透過性・代謝)や有効性・安全性を評価する。また、腸管クリプト由来幹細胞を3次元培養して形成されるオルガノイド(未分化・分化)を用いて、シーズ化合物の暴露による形態変化、細胞内ATPレベルやLDH漏出など複数のパラメータに基づき細胞傷害性を評価することが可能である。

支援担当者の研究概要

楠原と前田は、①体内動態に関連する分子、主にトランスポーターによる組織分布・排泄の重要性を解明することを目的として、胆汁排泄や尿排泄など実験動物におけるin vivo薬物動態試験、②in vivoデータをサポートするため、肝臓などの初代培養細胞や薬物トランスポーターの強制発現系などin vitroモデルの開発、③ヒトにおける薬物動態や医薬品を複数服用した際の体内動態の変動(薬物相互作用)を予測するため、in vitroデータの外挿方法(in vitro-in vivo extrapolation/in vitro-in vivo correlation)を開発してきた。薬物速度論に基づいて、薬物固有の動態特性を表すパラメータを決定することで、体内動態におけるトランスポーター分子の重要性を定量的に評価してきた。特に研究②では、実験動物に加えて、ヒト由来試料として、ヒト肝細胞(遊離あるいは接着型)を用いた薬物輸送試験、代謝試験の実績を有する。さらに最近、腸管クリプト由来幹細胞を拡大培養し、その後分化させることで、小腸における薬物吸収・代謝をin vitroで評価する試験系を確立し、in vitroモデルにおける薬物動態関連分子の重要性を評価する実験系を確立している。幹細胞を拡大培養し得られるスフェロイドや、分化誘導後の小腸吸収上皮細胞を含むスフェロイドを調製し、薬物動態・毒性試験における有用性の実証へ向けた研究を展開している。腸管クリプト由来幹細胞については、実験動物に加えて、ヒト由来細胞の構築にも取り組んでいる。In vitro試験系で評価した薬物動態パラメータを数多く収集すると共に、生体における組織重量や血流速度等生理学的なパラメータも考慮した薬物動態の数理モデルを構築し、個体レベルへの薬物動態特性の外挿法、既存薬物のin vitroデータと臨床データを参照し、その相関関係に基づいて予測性を改善する方法(研究③)も開発してきた。また、薬物動態研究として、健常人を対照とした臨床研究(特定臨床研究)により、in vitro試験の予測結果を検証することにも取り組んでいる。
研究室HP:https://dotai.f.u-tokyo.ac.jp/ja/index.html

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